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月別アーカイブ: 2025年11月

第21回塗装工事雑学講座

皆さんこんにちは!
ヤマシタ建装、更新担当の中西です。

 

屋根は“最前線”。 紫外線・熱・風雨の直撃、加えて朝露→急乾燥のサイクル。外壁より苛酷です。だからこそ、下地の見極めと排水(縁切り)、棟板金の固定、防錆+高耐候の4点セットで挑みます。

 

1. 屋根材別の前提
スレート(カラーベスト):縁切りが命。反り・割れは補修。下塗は浸透シーラー+場合により遮熱下塗。
金属(立平・瓦棒・折板):白錆/赤錆・端部・ボルト穴・重なりを重点。エポキシ防錆/ジンクリッチで切断面を守る。
セメント瓦:塗装可。素地強化→専用下塗→上塗。
陶器瓦:基本塗装しない(割れ補修・漆喰・雨仕舞が中心)。

 

2. 現況診断
藻/苔:洗浄+薬剤で根を断つ。残ると上塗の密着低下。
割れ・欠け:専用パテ/シールで補修→面出し。
棟板金:釘抜け・ビス浮き・継手のシール切れ。貫板(木下地)の腐朽は交換が原則。
金属折板:ボルト周りの錆・シール劣化。シーリングワッシャの状態確認。

 

3. 洗浄〜下地の作り方
高圧洗浄:圧10〜15MPa/距離を守り、下から上→上から下でムラを防ぐ。割れスレートは近接噴射NG。
乾燥:屋根は朝露が戻る。午前中は乾燥待ちが基本。含水は剥離・白化の元。
下塗:スレートは浸透シーラーで吸い込みを止める。痛みが強い場合は2回下塗で素地再生。

 

4. スレート“縁切り”の全て
目的:重なり部の毛細管逆流を断ち、滞水・凍害を防ぐ。
方法:
タスペーサー:規定枚数を縦横ピッチで差し込み。塗膜で再閉塞しない。
カッター縁切り:既存閉塞を手切り→タスペ併用が安心。
失敗例:縁切りなし→雨水が上走りし、室内漏水や凍害剥離。最重要チェック項目。

 

5. 棟板金の固定と止水
釘→ビス化:ステンレスビス+シーリングで引き抜き抵抗UP。
貫板:腐朽は樹脂製や防腐木へ交換。板金下の通気と止水を意識。
継手:重ね代+シール。**一次止水(板金)**を先に整える。

 

6. 金属屋根の要点 ⚙️
白錆(亜鉛):洗浄→メッキ対応プライマー。
赤錆:素地露出まで戻しエポキシ防錆→上塗。
折板ボルト:ボルトキャップやシーリングワッシャで再錆を抑制。ストライプ塗り必須。
立平ハゼ:重なり部の毛細管→端部厚付け+水切りで対処。

 

7. 遮熱の期待値と相乗効果 
反射率/SRIが高いほど表面温は下がるが、小屋裏断熱/換気が整っていてこそ室内体感に反映される。
濃色でも近赤外反射顔料で差を縮小可能。低汚染と組み合わせて性能維持。

 

8. 気象・露点・時間帯の戦術 ⏱️
朝露:露点差≥3℃までは待つ。無理塗りは白化/艶引けを招く。
強風:飛散・肌荒れ。希釈/道具/ネットで制御。
降雨予報:インターバルを逆算し、途中で止められる位置まで作業する。

 

9. 施工フロー(標準)
洗浄→乾燥→下地補修(割れ・ビス)
下塗(1〜2回)→乾燥
縁切り(タスペ/手切り)
中塗→上塗(必要なら遮熱)
棟板金のビス化+継手止水
仕上げ点検(縁切り再確認・端部タッチアップ)

 

10. ありがちトラブル&回避
塗装で雨漏りが止まる誤解:ルーフィング破断には塗装は無力。防水/板金工事と連携。
ムラ:下地の吸い込み差→下塗回数と希釈で均す。
ブリスター:含水・塩分→乾燥・洗浄をやり直す。

 

11. 検査と記録
縁切り状態を近接写真で残す。
棟板金ビスのピッチ・本数、タスペ枚数を記録。
WFT/DFT・温湿度を日報化。

 

次回(第6回)は塗料の化学を“完全版”にアップグレード。樹脂・顔料・添加剤・硬化、ラジカル制御から親水・低汚染まで、現場で効く理屈を深掘りします。

 

 

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某ハウスメーカー様物件 10月完工集

某ハウスメーカー様の10月に完工した物件です!

 

第20回塗装工事雑学講座

皆さんこんにちは!
ヤマシタ建装、更新担当の中西です。

 

ベランダ防水(FRP/ウレタン)💧🛡️

 

雨漏りの震源地は“水平面”。
ベランダ・バルコニーは「勾配」「ドレン」「取り合い」の3条件が要。
防水層の種類から現状診断→是正→仕上げ→維持までをわかりやすく整理します🧭


1️⃣ 現況診断 🔎

症状 原因・対策
表面の白化・艶引け トップコートの劣化。5年前後で更新が目安
膨れ(ブリスター) 下地の含水やガス。通気緩衝工法/下地乾燥で是正。
ひび割れ 下地の収縮・動き。ウレタン防水は追従性が高い。
ドレン詰まり 落ち葉・砂による水位上昇→漏水リスク。定期清掃を最優先。
笠木・サッシ取り合い **一次止水(板金)+二次止水(シール)**の両輪を確認。

2️⃣ 防水工法の比較 🧪

工法 特徴・ポイント
FRP防水(ガラスマット+樹脂) 硬くて耐摩耗性◎。下地剛性が必要。角部のクラック注意。
ウレタン塗膜防水(密着工法) 一体化で複雑形状に強い。下地の含水は膨れ原因。露点管理が重要。
ウレタン塗膜防水(通気緩衝工法) 絶縁シート+脱気筒で湿気逃がす。既存改修の王道

3️⃣ 勾配と水の動線 📐💧

  • 勾配は 1/100〜1/50 を確保。
    → 溜まり水は劣化加速、レベル調整で是正。

  • ドレンは 立上りの最下点 に配置。
    → 改修用ドレンで既存管に差し込み更新。


4️⃣ 取り合いの鉄則(漏れるのは“端部”)🧷

  • 立上り → 平場 → 入隅/出隅 の順で連続性を確保。

  • 笠木:重ね代+一次止水→二次シール。
    3面接着NG/二面接着を徹底。

  • サッシレール:シール逃げ道を確保、水抜き孔を塞がない。


5️⃣ 施工フロー(通気緩衝ウレタン例)🧰

  1. 洗浄 → 乾燥(含水率低減)

  2. 下地不陸補修(レベリング・樹脂モルタル)

  3. プライマー塗布(露点差3℃以上を確認)

  4. 通気シート貼付 → ジョイント圧着

  5. 脱気筒設置(最上点付近)

  6. ウレタン1層目 → 規定WFT確認

  7. ウレタン2層目 → 合計DFTを満たす

  8. トップコート塗布(防滑骨材の要否判断)


6️⃣ トップコートの役割と更新 ⏳

  • 紫外線・汚れ防止の盾

  • 更新目安:約5年

  • 色付きトップは劣化の見分けがしやすくメンテ判断◎。


7️⃣ タイル仕上げバルコニーの注意点 🧱

  • タイル直張りNG(目地割れ・浮きが雨水経路に)。

  • 原則:下地防水 → タイル仕上げ

  • 既存の場合は、目地補修+ドレン強化で延命。


8️⃣ 生活運用の工夫 🧽

  • 植木鉢は脚ゴムで点荷重分散し、防水面の傷を防ぐ。

  • 高圧洗浄は近距離NG(シール破断・水侵入リスク)。

  • 雪国では雪止め・ドレン除雪をルーチン化。


9️⃣ よくある不具合と対策 😵‍💫

不具合 原因 対策
ピンホール 泡・湿気 消泡剤・含水管理・薄付多層施工
膨れ 含水・塩分 通気緩衝+脱気筒設置
端部剥離 プライマー不適合・乾燥不足 再研磨→適合プライマーで再施工

 


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熱田区 某ディーラー

熱田区 某ディーラー

洗車場の鉄骨の一部の塗装とコーティングを行いました。

第19回塗装工事雑学講座

皆さんこんにちは!
ヤマシタ建装、更新担当の中西です。

 

シーリング工事の要点

 

「シール=埋める作業」ではなく、「ジョイント設計」。
目地の動き量、接着面の選定(2面接着)、断面比、プライマー適合、硬化管理が寿命を左右します。
ここを外すと、どんな高耐候塗装も端部から破綻します。


1️⃣ ジョイントの基本思想

  • 2面接着が鉄則
    背面はボンドブレーカーやバックアップ材(丸棒)で非接着。
    左右の2面のみ接着し、伸縮追従/3面拘束破断の防止を実現。

  • 断面設計(幅:深さ)
    → 一般に 1:1/2〜2/3 が基本。
    深すぎ=硬化不良/表面しわ。浅すぎ=破断リスク。

  • ムーブメント(設計変位)
    サイディング目地は ±10〜25%を想定。
    可とう性の高い材料選定が必須。


2️⃣ 材料選定のロジック

種類 特徴・用途
変成シリコン(MS) 塗装可/汚染少/屋外万能。戸建て外装の定番。
ポリウレタン(PU) 弾性◎。ただし黄変・汚染注意。塗装前提で使用。
シリコーン 耐候◎だが塗装不可が多い。ガラス・金属・浴室向け。
2成分型 均一性能・厚塗り可。可使時間管理が重要。
ノンブリード 可塑剤移行によるベタつき・汚染防止に必須。

3️⃣ 下地とプライマー適合

  • サイディング:粉化除去→専用プライマー→既定時間内に充填。

  • 金属部:脱脂→研磨→金属用プライマー(ガルバ対応必須)。

  • 塗膜上:付着試験で可否確認。旧塗膜が脆弱なら撤去が無難。


4️⃣ 施工手順(打替え標準)

  1. 既存撤去:カッターで壁面を傷めず切除。底まで除去。

  2. 清掃・脱脂:ダスト・油分除去(エアブロー+ウエス)。

  3. バックアップ材/ボンドブレーカー挿入:深さ制御&非接着確保。

  4. プライマー塗布:規定量・乾燥時間厳守(放置NG)。

  5. 充填:連続吐出で気泡レス。やや多めに。

  6. ヘラ押さえ:両面に圧力。表面なでるだけは×。

  7. 養生撤去:糸引き注意。角を立てて引く。

  8. 硬化・養生:表面硬化後に塗装。可塑剤移行時間も考慮。


5️⃣ 増し打ち適用の見極め

状況 判断 対応
深さ十分・非接着確保・旧材健全 プライマー併用で上から増し打ち。
痩せ・割れ・剥離進行/背面接着疑い 不可 打替え一択。

6️⃣ 気象・硬化管理 ️

  • 露点差 ≥3℃/湿度 ≤85%
    → 低温高湿は白化・しわの原因。

  • 降雨予報対策:初期硬化前の降雨NG。
    → 日照・風で可使時間が変動するため、工程管理が鍵


7️⃣ 取り合い部のコツ(サッシ・笠木・入隅)

  • サッシ回り:水抜き孔を塞がず、二面接着を維持。

  • 笠木重ね代:一次止水(板金)を優先し、シールは二次止水扱い。

  • 入隅/出隅:R仕上げで応力集中を回避。


8️⃣ 典型不良と対策

不具合 原因 対策
3面接着による破断 背面処理不良 ボンドブレーカーで非接着確保。
気泡・ブロー 吐出速度・ノズル角度不良 過充填→ヘラ押さえで除泡。
早期汚染 ブリード ノンブリード材+表面洗浄。

9️⃣ 検査・記録

  • 記録項目:断面寸法写真(幅・深さ)/プライマー缶/使用ロット

  • 環境データ:温湿度・養生時間を記録

  • 報告:打替え数量をm・箇所で明記→見積突合で透明化

 


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大府市 K様邸

大府市 K様邸

この度は、ご成約頂き誠にありがとうございます!