
皆さんこんにちは!
ヤマシタ建装、更新担当の中西です。
仕上がりは“塗る前”で決まる。 洗浄・素地調整・補修・乾燥・プライマー適合——ここを外すと、どんな高級塗料でも本来の性能は出ません。今回は現場で役に立つ精度に落とし込んで、下地づくりのすべてを解説します。
1. 高圧洗浄の科学
目的:汚れ・藻/苔・旧塗膜の粉化(チョーキング)を除去し、密着の障害を取り除く。
圧力と距離:10〜15MPaを基準に、距離15〜30cmで面を均一に。回転ノズルは近づけすぎNG(下地損傷)。
洗剤洗浄:油汚れ・北面の藻/苔は中性洗剤やバイオ洗浄を併用。十分なすすぎが鉄則。
乾燥:洗浄後の含水が残ると剥離・白化の原因。季節に応じ24〜72hの乾燥目安。
2. 旧塗膜の診断
付着:クロスカットで密着をチェック。剥がれが大きい場合は全面ケレンやフィラー厚付で下地再形成。
チョーキング:手に粉が強くつく→シーラーやフィラーで吸い込みを止める。
ヘアクラック:微弾性で追従。構造クラックはVカット→樹脂モルタル→肌合わせ。
3. シーリングの基礎
どこを打つか:サイディング目地は基本打替え。サッシ回りは条件次第で増し打ちも可。
2面接着:ボンドブレーカーで背面を切り、伸縮に追従させる。3面接着は破断のもと。
ノンブリード:塗装前提なら必須。可塑剤移行を防ぎベタつき/汚染を抑制。
プライマー:専用品を規定時間内に充填。温湿度で硬化が変わるため日程管理が重要。
4. ケレン(素地調整)の段階
手工具:ワイヤーブラシ/スクレーパー。不陸を取って健全面を露出。
電動工具:サンダー/グラインダーで足付け。#80→#120→#180の順で均し。
重度劣化:層状剥離や深錆は交換・板金補修も視野に。無理な塗り重ねは短命。
5. パテ(面出し)と段差解消
目的:クラック・欠け・目地段差を平滑化して仕上がりを整える。
二度パテ:乾燥収縮を見込んで二段階で面を作る。サンドペーパーで肌合わせ。
6. 含水と露点管理
露点差:素地温−露点温度≥3℃で結露回避。朝夕は戻り結露に注意。
測定:非接触温度計+湿度計で根拠のある判断に。雨上がり・曇天は特に慎重に。
7. プライマー適合と下塗り
モルタル/ALC:浸透シーラーで吸い込みを止め、微弾性フィラーで下地形成。
サイディング:シーラー→中上塗。意匠面はクリヤの可否を劣化度で判断。
金属:エポキシ防錆や亜鉛リッチを切断小口・端部に重点塗布。
8. 部位別のポイント
屋根:縁切り/タスペーサーで排水経路を確保。
軒天:防カビと透湿の両立。換気口の目詰まり清掃。
雨樋/塩ビ:ノンブリードプライマーで可塑剤対策。
9. 典型的な不具合と対処
ピンホール:洗浄不足・泡→消泡剤と清浄度の改善、薄付けで再施工。
艶ムラ:吸い込み差・ロット混在→下塗厚みと缶管理。
剥離:油分/粉塵/結露→脱脂・清拭と露点管理の徹底。
10. 写真台帳の作り方
前/中/後を同アングル・同時間帯で。
近接(補修部)と遠景(全体ライン)の両方を残す。
WFTゲージ・缶数・温湿度など数値も写すと説得力が違う。
次回は素材別AtoZ。モルタル/サイディング/ALC/タイル/金属/RC/木部、それぞれの“勝ち筋”を地図化します。
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皆さんこんにちは!
ヤマシタ建装、更新担当の中西です。
“塗ること”より“決めること”が8割。 何から手をつけるか、何を基準に選ぶか、どこまでやるか。ここが定まれば、仕上がり・費用・ご近所対応までスムーズに進みます。この初回は、迷いを最小化する決定プロセスを、やさしい言葉と実務の視点で整理します。🧩
1. いま家に起きていることを知る 🔍
劣化サイン早見表:
指で触って白い粉→チョーキング(樹脂の分解)
目地に隙間・割れ→シーリング劣化
ひび割れ→クラック(ヘア〜構造)
緑っぽい汚れ→藻/苔(北面・日陰)
錆汁・膨れ→金属腐食/下地不良
優先度の付け方:安全>雨漏り>美観。見た目より先に雨の経路を断つ。☔
2. 予算の考え方(LCC=ライフサイクルコスト)💴
“とにかく安く”は膜厚/工程省略のリスク。10年で何回塗るかを基準に、長寿命×低汚染の組み合わせで総額を下げる発想へ。
足場共有:屋根・外壁・付帯・防水を同時にやると再設置費ゼロ。1回の負担は上がっても総額は下がることが多い。
3. 工事までの全体フロー 🗺️
現地診断(30〜60分):外壁/屋根/付帯/防水をチェック。写真台帳を作成。
仕様提案&見積:製品名・塗布量・乾燥時間まで数値で提示。
色決め/艶決め:A4以上、大判サンプルを屋外で。3色ルールに沿う。
近隣挨拶:洗浄日/臭気日/車養生を事前共有。🗣️
着工→洗浄→下地補修→シーリング→塗装(下/中/上)→付帯→清掃→検査→引渡。
4. 見積書の“数字”を読み解く 📑
塗布量(㎡/缶)と必要缶数が面積×理論塗布量で一致しているか。
乾燥インターバルの表記があるか(短すぎ/長すぎは不具合の元)。
下地補修が“一式”でなく数量か。
屋根の縁切り/タスペーサー数、棟板金ビス打替えの記載があるか。
5. 塗料グレードの選び方 🎯
ラジカル制御型:コスパ◎。10年前後の更新計画に。
フッ素/無機:艶保持・耐候◎。沿岸/日射強で真価。
艶:3〜7分艶が外壁で上品。屋根は艶ありが長寿命になりやすい。✨
6. 色設計の手順 🎨
主色×付帯×アクセント=3色に整理。
屋根/サッシの色を先に固定→外壁を合わせる。
面積効果で明るく見える→ワントーン落とすのが定石。
汚れと退色:白/黒は目立つ。薄グレー/グレージュが実用的。🧼
7. 近隣配慮と暮らしの工夫 🏘️
高圧洗浄日:洗濯物NG、車カバーをお願い。植栽の養生を丁寧に。
臭気日(溶剤作業):窓開けNG、作業帯の時間を事前通知。
防犯:足場の侵入防止。センサーライトや在宅時間の共有が安心。
8. 1日の流れと工期の目安 ⏱️
戸建てで10〜20日(天候次第)。各工程の乾燥時間を優先し、無理な詰め込みはしない。
雨天/強風は中止。品質>スケジュールが正解。
9. よくある失敗と回避 😵💫
価格だけで決めた→膜厚不足・早期退色。→仕様書を揃えて比較。
写真が残らない→再発時に原因特定不可。→前/中/後の写真台帳を契約に明記。
色で迷走→当日決断で後悔。→大判サンプルと近隣景観で検証。
10. “良い業者”の見分け方 🧭
露点差/湿度など気象判断が会話に出る。
**缶数管理/WFT(ウェット膜厚)**の話ができる。
クレーム対応のフロー(受付→現場→是正→報告)が明文化。
11. 工事中にできること 🙌
日報・進捗を週次レポートでもらう。
気づきは即共有。早い段階ほど是正が容易。
仕上げ検査は同条件(同時間帯/同アングル)でチェック。📸
次回は下地調整。”塗る前”の品質づくりを、手順と道具のレベルまで掘り下げます。🧼🔧
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皆さんこんにちは!
ヤマシタ建装、更新担当の中西です。
さて今回は
~劣化~
外装・内装を問わず、塗膜は紫外線・水・熱・汚れ・機械的ストレスに晒され続けます。劣化のサインを早期に捉え、原因に合わせて手当てすることが、美観・耐久・ライフサイクルコストを左右します。現場で使える視点だけをギュッと整理しました。
チョーキング(粉吹き):触ると白粉が付く。樹脂分解と顔料露出。
退色・艶引け:UVと熱で樹脂が劣化、色が浅く艶が落ちる。
汚染・雨筋:親水性不足や静電で埃が定着、流下水で筋状に。
藻・カビ:北面・日陰・水はね部に発生しやすい。
ヘアクラック:微細な線状の割れ。下地の乾湿や熱伸縮が原因。
膨れ・剥離:含水・塩分・下地未処理・相性不良で付着喪失。
錆・錆汁:金属下地や金物部からの腐食流出。
白華(エフロ):モルタル系での石灰分析出。
粉化・脆弱化:古塗膜が劣化し、擦ると崩れる。
紫外線・酸化・加水分解:樹脂骨格が切れて脆くなる。
温度サイクル:熱膨張差で応力集中→クラック。
水分・塩分:含水や塩分が付着力を下げ、金属は腐食促進。
化学汚染:排気・酸性雨・アルカリ成分との反応。
施工起因:洗浄・ケレン不足、過希釈、規定膜厚未満、乾燥時間無視、露点管理不足、下地と塗料の相性不良(可塑剤ブリード等)。
金属(鋼・亜鉛・アルミ):錆・白錆・電食。防錆エポ下塗り+膜厚管理が命。
モルタル/コンクリート:アルカリ・含水・白華。含水率・pHとフィラーで平滑化。
窯業系サイディング:目地シール劣化→浸水→剥離。打替え前提で計画。
木部:吸い込みムラ・含水変動。含浸系+上塗りで追従性を確保。
屋根(スレート/金属):高温・雨打・縁切り不良が致命傷。遮熱・防錆・縁切りがキモ。
チョーキングテスト:手で擦り粉の量を確認。
付着性:クロスカット/引張(必要に応じて)。
膜厚測定:電磁式・渦電流式で下塗り含む総膜厚を見る。
含水率:モルタル・木部はメーターでチェック。
塩分試験:海沿い・道路沿いでの表面塩分。
赤外線サーモ:膨れ・含水部の非破壊確認。
目視・打診:浮き音、ヘアクラックの分布、錆の発生源。
診断は「症状→原因仮説→試験で裏取り」の順で。いきなり塗り直さない。
初期(汚れ・軽微な艶引け):洗浄・撥水/低汚染コートで延命。
中期(チョーキング・退色):下地調整+再塗装(グレード見直し)。
後期(クラック・剥離):補修工法+再塗装(Uカット・シール、樹脂モルタル、錆処理ST2〜3等)。
下地損傷:張替え・防水改修・役物交換を含む。
設計:
形状で水を“ためない”(笠木・水切り・ドレン)
低汚染・親水・ラジカル制御・フッ素/無機など高耐候の選択
屋根は遮熱で温度ピークを下げる
下地処理:高圧洗浄/ケレン/素地調整(フィラー・パテ)/プライマー適合
施工条件:温湿度・露点差管理、規定膜厚・乾燥時間厳守、過希釈禁止
付帯:シーリングは打替え優先・三面接着回避、金物は防錆系下塗り
排水計画:縁切り(屋根スレート)、シールで“水止め”しない箇所を理解
海沿い・工業地帯・強日射面:短め(例:8〜10年で再塗装検討)
都市部・標準環境:10〜15年
ハイグレード塗料(フッ素・無機)はさらに延伸可
※素材・方位・設計・施工品質で大きく変動。定期点検で決めるのが原則。
洗浄不足→密着不良:下地に合う洗浄圧・洗剤を選びリンス徹底。
過希釈→膜厚不足:規定希釈・ウェット量を守る。
乾燥不足→艶ムラ・縮み:インターバル厳守、天候読み。
相性不良→ベタつき・剥離:可塑剤ブリード対策プライマー、試し塗り。
目地処理不良→割れ再発:バックアップ材、プライマー、厚み管理。
竣工台帳:材料銘柄・ロット・希釈率・膜厚・天候・写真
定期点検:3か月→1年→以後1〜2年ごと(洗浄・小補修で延命)
クリーニング:雨筋・藻カビは早期に除去して再付着を抑える
□ 症状(場所・面・範囲・発生日)
□ 下地種別・含水率・pH・塩分
□ 洗浄・ケレンの実施内容
□ プライマーの適合と塗布量
□ 上塗りの膜厚・回数・乾燥時間
□ シーリング(打替え/増し打ち・プライマー有無)
□ 役物・金物の防錆処理
□ 施工環境(温度・湿度・露点差)記録
劣化は“自然現象”ですが、設計(形状・材料)×施工(下地・膜厚・条件)×維持(洗浄・点検)で速度をコントロールできます。
症状だけで判断せず、原因→診断→対処をワンセットで。これが、仕上がりを長持ちさせ、クレームと再工事コストを最小化する最短ルートです。
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